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療養費等国庫負担金減額調整とは
市町村の子ども医療費無料化で、国が国庫負担減額のペナルティー
医療費助成制度には、償還払い方式と現物給付方式があります。
市町村が現物給付方式で助成すると、国は国民健康保険療養費等国庫負担金を減額するというペナルティーを科しています。
また、対象年齢拡大と引き換えに、市町村が自己負担を導入する理由の一つにもなっています。
償還払い方式
医療機関窓口で2割または3割の自己負担を支払い、 後日、申請により助成される分の償還を受ける方法
現物給付方式
医療機関窓口で2割または3割の自己負担を支払わなくてよい方法
国は、現物給付方式にすると医療機関に受診する患者数が増える(波及増という)と解釈し、 増えた医療費については、国庫負担を減額するという仕組みです。
医療機関窓口で徴収する額に応じて減額調整率が決められています。
自己負担がある場合は、自己負担にあわせて減額調整率が緩和されますが、
通院1回500 円(月2回限度)の負担の場合は、実際には医療費の1割強の負担率
(医科:10.22%、歯科11.02%)となります。
減額調整の方法
減額調整率は、医療機関の窓口で徴収する額に応じ次のように定められています。
窓口負担
「0」
「1割相当」
「償還制度」
減額調整率
小学校就学前
0.8611
0.9349
1.0000
小学校就学以降
0.8427
0.9153
1.0000
減額調整率は、調整対象医療費(波及増)を算出する際に用いられます。
計算例(小学校就学前。現物給付で医療費が1,000 万円要した場合)
現物給付に係る医療費(1,000 万円)×(1−0.8611)=139 万円(調整対象医療費=波及増)
<解説>
法律通り窓口で2割負担を徴収すれば、医療費は1,000万円ではなく、
861万円(1,000万円−139 万円)だったはずであり、窓口無料にしたため139万円余分にかかった。
従って、139万円分については国庫負担を出さない、というわけです。
参考:自動給付方式(償還払いの変種)
長野県、奈良県では、「自動給付方式」が導入されました。
これは、窓口では一部負担金を支払いますが、申請した口座に数ヵ月後に自動的に償還される仕組みです。
これも、国庫負担の減額調整を回避する苦肉の策となっていますが、 窓口でいったん自己負担分を支払うことには変わりません。